ネットやSNSでは、A型事業所の良くない評判やトラブルの話がたくさん出ています。
- 契約と賃金が違った
- 思わぬところでクビになった
- 精神的に立ち直れないほど叱責された
など、事例を上げるとキリがありません。
確かに、評判の悪い事業所も存在するのかもしれません。けれども、障害者に対して理解のある事業所もたくさん存在します。きちんとした事業所を探し、あなたの将来の自立に向けて、仕事をしていくことが大切です。
この記事では、働くべきではないA型事業所やよくあるトラブルをご紹介します。
関連記事:軽度知的障害者でも出来る仕事や職種。仕事が続かないと悩まないで
A型事業所とは何か
A型事業所とは、就労継続支援A型を提供する事業所のことです。
就労継続支援A型とは、障害や難病のある方が、雇用契約を結んだ上で、一定の支援を受けながら働くことができる民間の福祉サービスです。
一般の企業で働くことが障害の特性上難しい方で、65歳未満の方を対象に、障害への配慮を含めた支援を受けながら働ける職場を提供します。
基本的に、将来、一般企業への就職や、就労移行支援へのステップアップを目指すためにある福祉サービスです。
利用者は、サービスを提供する事業所と雇用契約を結ぶので、基本的には国が定める最低賃金以上の給料が支払われます。
仕事の内容は一般の就労とあまり変わりません。しかし、一般の企業と比べると就労時間が短かく、給料が安いという傾向があります。
関連記事:就労継続支援A型事業所の雰囲気や体験談。休日や勤務時間
A型事業所のしくみ
就労継続支援A型の利用は、誰でもできるというものではなく、一定の条件を満たさなければなりません。
対象年齢は18歳から65歳までです。
就労経験があって現在は働いていない方や、就労移行支援や特別支援学校での就職活動で就労できなかった人が対象です。
障害者手帳や療育手帳などが必要とされていますが、自治体によっては条件が異なる場合がありますので、お住まいの自治体の障害福祉窓口で問い合わせることをおすすめします。
就労継続支援A型は事業所と雇用契約を結びます。
そのため利用にあたり、面接などの選考があります。求人に関してはハローワークや障害福祉窓口で紹介してもらえます。
無事に採用となれば、市町村の障害福祉窓口で利用申請をします。
就労継続支援A型事業所を利用するには利用料が必要です。就労継続支援A型はあくまで障害福祉サービスであって施しではありません。障害福祉サービスの自己負担は当然かかります。
働くのにお金を払うのかと疑問に思うかもしれません。けれども、就労継続支援は仕事を続けるための支援をサービスとして提供するものです。
とはいえ、利用者の自己負担は国によってその上限が決められています。もしもその上限を超えて請求されるようなことがあるなら、利用申請がおり、受給者証を持っている状態であれば、障害福祉窓口に訴えることができます。
国が決めた利用期間は無制限ですが、雇用契約に関しては期限が設けられている場合がありますので、契約書をよく読んで契約を結んでください。
A型事業所が2年でクビになると言われる理由
A型事業所は2年でクビになるというウワサがあります。
現在では、よほどのことがない限りは2年でA型事業所をクビになるということはありません。
勤務態度が良く、通所率が高ければ、2年を超えて働ける事業所がほとんどです。では、なぜ2年でクビになると言われているのでしょうか。
実は、事業所に対して「特定求職者雇用開発助成金(特開金)」というものが2年間、支払われるからです。
特開金は、利用者が2年以上事業所を利用すると、事業所に支払われなくなります。かつては、事業所は2年間で一般企業へ無理に就職させたり、退職させたりすることもあったようです。
それが問題視されて、特開金を廃止しようという動きが出てきました。
廃止されてしまうと元も子もないので、近年では事業所も、利用者に2年以上勤めてもらえるように努力するようになりました。
現在、2年で利用者をクビにするような事業所はかなり悪質です。
就労継続支援A型事業所は、民間の福祉サービスです。収益が上がらないと経営が破たんしてしまいます。
A型事業所は、障害を持つ人たちが実際に働き、仕事をすることで自分のこれからの生活について考える大切な体験を提供してくれる重要な施設です。
しかし、事業がうまくいかず、国からの補助金や助成金などを利用しても経営が破たんしてしまう場合もあるほど、難しい事業でもあります。
本来は事業所内に独自の事業を展開するのが、A型事業所の経営に求められるもの。しかし、事業所はまだ存在しています。
外部の事業を請け負う場合、その受注がなければ、当然利用者の給料は別のところから払わなければなりません。
他の目的で国から支給された補助金や助成金を給料に回して破たんするなんてこともあるようです。
2年でクビになるような事業所はトラブルも多く、就職の選択肢から外した方が賢明でしょう。
おかしいと思ったら相談しよう
障害者福祉に関する法律は年々改定されています。
それにより、障害者はより福祉サービスを受けやすくなってきました。
さらに、悪質な事業所は淘汰され、事業所の方も、障害者のメンタルケアに力を入れたり、障害者の希望に沿った働き方や、将来の就職を考えたりして、サービスの向上を図っています。
しかし、労働という意味では、就労支援は福祉事業の中でも、自立してもらうための訓練の意味合いが強く、勤務態度などを厳しく叱責されることもあります。
これを福祉窓口などに訴えていく人もいますが、それは大きな間違いです。残念ながら、まだ昔ながらの事業展開をする悪質な事業所も存在します。
あなたの勤務態度が良く、通所率も高いにも関わらず、理不尽に叱責されたり、給料が明らかに低かったりして、おかしいと思ったら、福祉窓口に相談に行きましょう。
信頼のできる事業所選びが大切
A型事業所はきちんとしたところを選び、きちんと仕事をこなせば、あなたの将来の自立にたいへん役に立つサービスです。
将来、自立を目指しているのならば、A型事業所は利用しておくべきサービスです。しかし、悪質な事業所に当たると最悪です。
ネットなどの情報は、なぜか良質な事業所よりも悪質な事業所のことが多く書かれていますが、あなたのことを考えてサービスを提供してくれる事業所もたくさんあります。
関連記事:知的障害者の一人暮らしは自立できる?制度や支援、親に反対された場合は?