障害者の生活

知的障害者の一人暮らしは自立できる?制度や支援、親に反対された場合は?

自立とは、なんでもかんでも一人でやりなさいということではありません。
人間は社会生活を送っているとき、いつも誰かに支えられ、誰かを支えて生きています。

 

障害者にとっての自立とは、この社会活動の輪の中に加わることです。
一人で生きていくというのと、一人ぼっちで生きるのは違います。

 

支え合いの輪の中に入り、誰からの支配も受けずに生きていくことが、障害者の自立ということなのではないでしょうか。

知的障害をもち、一人暮らしをしている人はいます。しかし、さまざまな困難と向き合っていく必要があります。

では、知的障害のある方が一人暮らしをすると、どんな壁や困難があるのでしょうか?

関連記事:軽度知的障害者が向いている仕事・業務を覚えられないときにできること

知的障害者にとって自立とは何か

自立とは、誰からの支配も受けずに自分の選択で生きるということです。

 

誰にも頼らないことを自立と思うでしょう。
確かにそれは間違いではありません。

誰かに頼り切ってしまったとき、あなたはその人の意思によって左右されてしまうことになるからです。
これは支配されていると言えます。

 

しかし、相手を頼ったぶん、こちらも相手に頼られた場合は、支配されているとは言えません。

 

知的障害者にとっての自立とは、社会活動に参加するということです。
社会の中で役割を持ち、その役割を全うするのが自立です。
誰かの役に立っていると実感を得られたとき、自立できていると言えます。

 

人間は、人間社会で生きている以上、誰かに頼らずに生きていくことはできません。
それは健常者であろうが障害者であろうが同じです。

 

しかし、お互いに支え合っている場合は、自立していないわけではないのです。
社会の中で役割を見つけ、その役割をしっかりと担っていくことが自立です。

 

自立には、支え合いのバランスは欠かせません。
ですから、自分でできることは、自分で行なっていくというのが基本になるのです。
そして、どうしてもできないことは誰かを頼り、その頼ったぶん、社会の役割をきっちりとこなしていかなければなりません。

就労しながら一人暮らしをする

知的障害者であっても、就労しながら一人暮らしをすることは可能です。
親からの支配は障害者にとっては大きな問題です。
障害者を持つ親も、それを支配だとは思いません。

 

親は子供の世話をするのを当たり前とし、無条件ですべてのことをやろうとします。

それは親だから仕方のないことなのですが、自立するためには、どこかで親を頼らず、他者を頼る精神が必要になります。

 

親に世話をしてもらっている限り、あなたは親の支配を受けることになります。
ですから、一人暮らしをするとき、反対をされることが問題になるのです。

 

親からの支配を受けていなければ、言い方を変えれば、親だけを頼って生きているのでなければ、親の反対は、あなたになんの影響も与えません。

親がなくなった後のこと

親が亡くなった後のことを、考えたことはありますか?
親に頼り切って生きていると、いつか親が亡くなったとき、あなたが頼るところは無くなります。

 

自立することは、親なき後の生活を問題なく過ごすことでもあります。

自分の頭で考え、自分の意思で選択し、自分の意思で誰かに頼ってください。
そして頼った場合は、必ず同じだけ、自分も社会に提供してください。

 

社会は親のように無条件で頼ることはできません。

社会は支え合うことが基本です。

あなたは親なき後のために、社会の中に、自分のできる役割を見つけなければなりません。

知的障害者が自立するための制度・支援

自立するための第一歩は、国や自治体が定めた法律によって知的障害者のために設定された給付やサービスを受けることからはじまります。

 

「自立」という言葉からは遠い気がしますよね。
けれど、社会のしくみやサービス、社会生活を送るために使用されているインフラなどは、ほとんどが健常者を想定して作られています。

 

しかし、自立するためには、それらを障害者の方たちも同じように使用しなければなりません。

その場合、健常者よりも障害者の方が不便なのは明らかです。
その不便を埋めるために、障害者のための支援があるのです。

 

就労移行支援や就労継続支援などは、まさに障害者の自立を支える支援です。

それらの福祉サービスを受けるために、公平な利用者負担のもと、国からの補助が受けられるようになっています。

 

補助とは言いますが、これは国の義務的な負担です。
ケースワーカーなどに相談し、適切にサービスが受けられるようにしましょう。

 

ほとんどの場合、信頼できるケースワーカーさんに相談することからすべてがはじまります。

一人で生きていくのと一人ぼっちで生きていくのは違う

一人で生きていくというのは誰にも頼らずに生きていくということだと勘違いしがちですが、人間は社会生活を営む生き物で、この社会生活は人間の歴史の中で洗練され、進化してきました。

 

社会生活を営むというのは、お互いに支え合って生きていくということです。
誰にも頼らず生きていくということではありません。

 

そして私たちは日本という国に生まれた以上、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を持っています。

 

一人暮らしをするというのは一人ぼっちで生きていくというものではありません。
社会生活において支え合いの輪に入り、自分でできることは自分で行うということが一人で生きるということです。

関連記事:【障害者雇用】就職が難しい理由。向いてる仕事・向いていない仕事